デフォルト回避!アパートローンの金利上昇リスクに備える4つの基本
2016/06/15
賃貸経営にはいろんなリスクやトラブルの種があるなぁ…。といつも思う、たのちん管理人なむ。
賃貸経営をするための物件の購入はローンを組んでおこなうことがほとんどです。
返済ができなくなる→賃貸経営の破たんを意味しますから、大家さんは自分の組んでるローンや金利がどうなっているのかくらい知っておかなくてはいけません。
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Contents
賃貸経営と金利の話
多くの大家さんは賃貸経営のためにアパートローンを組んで物件を建てて(もしくは購入して)おられると思います。
いくらくらいの金利で借り入れされているのでしょうか…。
住宅ローンと同じくらいの金利で借りているという大家さんもおられますし、4.5%もの高金利で借りておられる方もおられます。
アパートローンは少なくとも10年単位で借りる長期間のローンですから、金利が経営に与える影響も小さくはないです。
なむの感覚だと、元々土地をお持ちの地主さんで賃貸経営をされている大家さんと、土地から購入して新築したり流通物件を購入して賃貸経営者になられた方では、だいぶ違います。
概して地主さんの金利の方が安いような気がします。
土地という担保があるからですかね。
逆に裸一貫賃貸経営を始めようとされている投資家さんやサラリーマン大家さんは高金利で借りておられるケースが多いです。
利回り6~7%、ローン金利4.5%とかで始められる方も実際いらっしゃるみたいですが…
まさかグロスではないと思いますが、実は頭金をかなり積んでいるのか、きっと新築の話ですよね?
でないとさすがにローン通りませんよね?
ただの風の噂ですかね?(情報不足)
なむはなにしろファイナンシャルプランナーの資格を取ろうとして、ユーキャンから届いた箱詰めの山盛り教材を見た瞬間に興が覚めて放置プレイをした経験のあるファイナンス音痴です。
そんなんなので、正確な情報を書こうと努めてはいますが間違っていることがあると思います。
お気づきの点があったらご指摘いただけますと助かります。
あくまでもトーシローの一般論になりますが…。
賃貸経営を俯瞰してみたときの、借入金利上昇が与える影響について考えてみます。
金利の基本:固定金利と変動金利
基本的すぎて笑われてしまうかもしれませんが…
ローンを組む時の金利タイプは大きく分けて「固定金利」「変動金利」の2種類ありますね。
固定金利特約型と言われるような、当初○年間は固定金利で経過後は変動というようなタイプもあります。
なむの基本的な理解では、
|
こんな感じですかね…。
あとは、固定金利でローンを組むと、期間中の繰り上げ返済はできないとか、変動金利への変更はできない、もしくは手数料を取られる、などはよく聞きます。
変動金利で必ず聞かれるリスクは、金利が上がった場合ですね。
支払いが増えるのでキャッシュフローが悪化します。
セオリー的には、金利が上がり始める直前の底金利のタイミングでできるだけ長期の固定金利でローンを組めると、賃貸経営的には安定感が増すのかもしれませんが、そんなタイミング誰にもわかりません。
あと、これは素朴な疑問ですが…
よく長期固定でローンを組めという指南的な情報を見聞きしたりもしますが、そんなに長期で固定ローンって組めるんですかね??長くても10年固定特約+変動、とかそんな印象。
大家さんの資力によるのでしょうか?
あ。事業用のアパートローンの話です。
今は、マイナス金利発動されるほどの低金利時代ですから、変動金利で借りておられる方は、取引銀行さんに金利交渉や借換の交渉をするにもいいタイミングなのかもしれません。
今が底とみて長期固定への切り替えを考えるか、攻め時とみて金利交渉を試みるか…。
出口を考えずに次に引き継ぐつもりか、それとも出口を考えた資産拡大路線か、など大家さんの経営スタンスによっても取りうる手は変わってくるのかもしれません。
返済方法の基本:元利均等返済と元金均等返済
何回覚えてもどっちがどっちかごっちゃになるのが、この返済方法についてですよね!(お前だけだよw)
まあ…なむがアホなだけなのですけど…
それにしても名前が似すぎだと思いません?
「利」と「金」しか違わないんですからごっちゃにもなりますよね?(だからお前だけだw)
もうちょっとわかりやすい名前にしてくれればいいのに。
ホスピタリティ足りてないです。(しつこいw)
ざっくりいうと、
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でしょうか。
メリット | デメリット | |
![]() |
毎月の返済金額が同じなので返済計画が立てやすい
初期は経費化できる金利が多いのでキャッシュフローがよくなる 借金による資産の圧縮の効果が高いので、相続対策として活用しやすい |
初期の返済金額の大半は金利のため、元本の減りが遅い
元本がなかなか減らないため返済総額が多くなる |
![]() |
利息の元になる元本が毎月固定で減っていくため返済額が徐々に減少する 元本が早く減るため返済総額が少なくなる |
初期の返済額が大きい |
なむは元金均等で組んでいる大家さんにまだ出会ったことがありません。
公庫とかでローン組んでる方は、固定金利で元金均等返済の方もいらっしゃるのかな…?
基本的にローンを組む時は、何も言わなければ「元利均等返済」で組まれると思います。
税金対策とか抜きにして、賃貸経営を事業として長期に安定運用しようと思うなら、できるだけ長期の固定金利で元金均等返済をするのが精神衛生上いいのかもしれません。
でも、そんな運用できるのはそもそもある程度のキャッシュのある方ですね。
初期のキャッシュフローに不安があったり、余裕をもたせたい場合は、元利均等返済の方がいいような気がします。いざという時にキャッシュがなくて黒字倒産なんてことになっては本末転倒です。
どうしても支払う利息が多くなるのが気になるのなら、キャッシュに余裕ができる毎に繰り上げ返済をすればいいと思います。
金利の上昇と変動金利返済ルールの基本:5年ルールと1.25倍ルール
金利の変動に支払額が影響を受けるのは「変動金利」でローンを組んでいる大家さんです。
変動金利タイプの金利は1年未満の短い資金貸借に適用される「短期金利」に連動していて、半年おきに金利が見直されます。
じゃあ半年ごとに返済額が上がったり下がったりするのか?
急激に金利が上昇した場合、急激に支払いが重たくなるのか?
というとそういうことではなくて、変動金利返済ルールには「5年ルール」というものがあります。
5年ルールとは 変動金利で半年に一回金利が変わっても、毎月の返済金額は5年間一定になるように調整され、返済額自体は5年後に見直されるルール |
変動金利返済ルールには5年ルールがあるので、半年ごとに金利の変動はするものの月々の返済額は5年間変わりません。
じゃあなにが変わるかというと、返済額の中の「元本と利息の内訳」ですね。
極端な例でいうと、毎年金利が急激に上がり続けて返済額に占める利息の割合が増え続け、元本を押しのけて未払い利息が発生する可能性もあるということです。
まあ、そこまで極端な金利上昇はないにしても、支払いが一定であるにも関わらず利息分の割合が増えるということは、元本の返済が先送りになっているということです。
利息ばっかり払って、元本の返済が進みにくくなります。
あともうひとつ。
変動金利返済ルールには「1.25倍ルール」というものもあります。
1.25倍ルールとは 5年ルールで据え置いた返済額を5年後に見直しする際、金利上昇によって返済額が大きく上昇することになっていても、これまでの返済額の1.25倍を上限とするルール |
金利が上昇していると5年後に据え置いていた返済額の引き上げを行うことになりますが、どんなに金利が上がっていたとしても、元の返済額の1.25倍までしか上がらないということです。
これまで100万円返済していたのが、金利の上昇で来年から200万円になります!ということはなく、125万円までに抑えますよ。というルールですね。
返済額が1.25倍以上に急上昇することはないのは安心ですが、こちらも5年ルールと同様に金利上昇局面では元本の返済が進みにくくなります。
このように、金利の急上昇による破たんリスクには5年ルールや1.25倍ルールなどによる防波堤が設けられていますので、ここを堪えられる体力を持っていれば金利上昇によるリスクは持ちこたえられるということにはなります。
しかし持ちこたえられるとはいっても、返済でギリギリの状態では突発的な修繕や入居のための投資ができなくなってしまいます。
金利は賃貸経営の状態や大家さんの懐具合を見ながら動いてはくれません。
自分でコントロールできないリスクで経営を圧迫される状態に陥らないようにしなくてはいけません。
金利の上昇リスク回避の基本:自己資本比率と繰上げ返済
金利上昇リスクに対してのみ紐づく解決策ではないとは思いますが、借入と大きく関連するのでついでに書いてしまうと、金銭的なあらゆるリスクに対しての一番の回避策は自己資本比率の向上です。
なむが勤めている会社のお客様の多くは地主系の大家さんです。
ですからどうしても地主大家さんに目線がいった記事になりがちなのですが、借入・金利上昇・自己資本比率がメインの話題になるとサラリーマン大家さんや個人投資家さんが気になります。
いわゆる、土地から買って賃貸経営している大家さんです。
自己資本比率とは、自分が持ってる財産の内でホンマに自分の分はどんだけよ?という比率のことです(ざっくり過ぎるw)。
1億円のマンションを持ってても、まだローンが9,000万円残ってたら、ホンマに自分のものなのは10%です。あとは銀行さんに貸してもらって賃貸経営させてもらっています。
90%も借りてると銀行さんはハラハラです。
もしうまくいかなくなったら激怒して、てめえふざけんなごるあって言って強制的にマンション売っぱらわれて回収されるわけです。
単純にいうと90%借入金ということは、自分の財産の90%が金利の変動の影響を受けるということです。
自分でコントロールできないリスクに、自分の財産の90%がさらされているわけです。
これが地主さんの場合、はじめっから自己資本比率50%とかはざらです。
ローンの返済が進めば80%とか90%とか、完済すれば100%です。
安定感バツグンです。
地主系大家さんの賃貸経営は節税対策の側面が大きいですから、借金しておきたいニーズもなくなりませんし、厚い自己資本に支えられて担保余力もバッチシ。
いいお客様ですね~(^^)
わたしが銀行でも地主さんにお金貸したい。笑
うっ。
また話が大きくそれた気がしますw
自己資本比率が上がれば、金利上昇にかかるリスクは少なくなりますよと言いたかっただけなんですが…。
自己資本比率を上げるということは、自分の財産における借金の割合を減らすということです。
すなわち、繰り上げ返済です。
借金の元本を減らすわけです。
さっきの話に少し戻ると、金利が上がる局面では5年ルール1.25倍ルールで、ある日突然返済困窮に陥るリスクはある程度カバーしてくれます。
しかし、金利自体を免除してくれるわけではなく先送りされるだけですから、未来に溜まっています。
さらに、元本がとても減りにくい状況に追い込まれているので、利息ばっかり払わされています。
そんな状態に陥らないためには…。
自己資本比率を上げることが大事になります。(ふーようやくつながったw)
賃貸経営におけるリスクは金利の上昇だけではないですから、なんでもかんでも余剰金が出たら繰り上げ返済に回すのが吉とは言いませんが、ある程度円滑に回っている間に経営基盤となる自己資本比率の向上を図っておくことは大事なことだと思います。
賃貸市場がイケイケドンドンの成長期なら、どんどん借金してガンガン拡大した方がいい!
というかもしれませんが…。
基本的に賃貸市場は斜陽市場w
足元ぐらぐらしていては、ひょんなことですくわれかねません。
金利の変動はコントロールできない
何度も同じこと言ってますねw
すみませんw
基本的に金利が上昇する局面というのは景気が上向いているときです。
景気がいいとお金が回ってますから、需要が高まりモノの値段は上がります。
給料が上がって、家賃も上がって、不動産の資産価値も高まるでしょう。
インフレでモノの価値が高まる分、相対的にお金の価値が下がりますから、借金の負担感は軽くなるはずです。
しかし金利が上がったからといって、明日から即需要過多になるわけでも、給料が上がるわけでも、物件価格が急騰するわけでもありません。
マクロで見れば少しずつでも徐々に上向いてくるのでしょう。
要は、そのタイムラグの間の金利上昇、ローン支払いに持ちこたえられればいいということですね。
基本的に賃貸経営のために組むローンは、お金を稼ぐための投資です。
基本的には稼いだお金で支払いが賄えるように事業計画を組んでいるはずです。
収益を上げる、高めるための対策と、金利上昇に耐えられる利幅さえ確保しておけば、そう問題にはなりません。
しかし、金利の上昇が賃貸経営を脅かすほどのリスクになりうる場合は、計画が甘いとしか言いようがありませんし、抜本的な見直しが必要になる可能性が高いです。
なぜなら金利上昇によるリスクは、空室のリスクや未納リスクなどの経営努力で改善できるリスクではないからです。
完全な外部要因によるリスクで、どんなに頑張っても持ち出しから脱出できない場合は、早急に手仕舞いを考えるべきです。
先ほどからしつこいですがw金利上昇局面はインフレ局面の可能性も高いです。
損切り覚悟で売りに出しても、ひょっとしたら高く売り抜けられる「かも」しれません。
そうなってしまう前に、自分の賃貸事業のバランスシートをもう一度確認しておいた方がいいかもしれません。
なむは、そんな風に考えたりしています。
金利の変動と賃貸経営について、ちょろっと思うこと
をこちら↓にも書いています。
すんごい的外れかもしれませんが…
シロウトのたわごとです。
あほやなw
と思われるかもしれませんが、ご指導ご鞭撻賜れましたらこれ幸いです。
*【2016年3月】金利の動向と賃貸経営の関係について、なむが思うこと
*金利が上昇したときに賃貸経営へ与える影響について、なむが思うこと
リスクNo.12 税金のリスク