クレームは早期解消が鉄則!入居中に起こる3大トラブルとその対処法
2016/06/15
賃貸経営にはいろんなリスクやトラブルの種があるなぁ…。といつも思う、たのちん管理人なむ。
入居者が決まって一安心…と思ったら、次に来るトラブルは入居者さんからのクレームですね。
大家さん側のミスによるクレームから、そんな殺生な…と思う理不尽なクレームまで対処しなくてはいけません。
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Contents
入居中のトラブルは3種類
戸建て住宅以外の賃貸住宅は、アパートやマンションなどの共同住宅です。
さまざまな家族構成・生活様式・背景をもった人たちが同じ建物の中で暮らしますので、ときにはトラブルも発生します。
そして新築物件ばかりではなく、築浅なものから築40年を超える程の幅広い中古物件が流通します。
いろんな状態の物件がありますので、設備や建物にも不具合が起こることがあります。
賃貸経営は人々に生活の場を提供するサービスですから、営業時間9時~18時、などというわけにはいきません。24時間365日対応が必要になる事業です。
大家業は土地建物が勝手に稼いでくれる「不労所得」だった時代は…終わってしまったかもしれませんね。
それなりの覚悟をもって取り組まなくてはならない「サービス業」かもしれません。
お客様である入居者が「入居」してくれたその日から、生活にかかわるトラブルは発生します。
そのトラブルは大きく3つに分類することができます。
ひとつひとつのトラブルに真摯に対処することで、入居者の満足度向上と賃貸の安定経営に繋がります。
3大トラブル ①:新入居にかかわるトラブル
まず初めに起こるトラブルは、新入居時です。
前入居者さんが退去されてからリフォーム・修繕工事を行い、清掃をした後すぐに次の入居者さんの入居が決まれば一番いいのですが、なかなかそうはいかずに数週間から数ヶ月空室のまま…ということもありますよね?
本来であれば、新しい入居者さんをお迎えする数日前にでも、再度室内のチェックと清掃をしておくのがベターなのですが、なかなかそこまではやっていない大家さんがほとんどではないでしょうか?
管理会社がやっているもの、と思っているなら甘いかもしれません。
部屋を見に行くだけの仕事にも人件費はかかります。業者さんはお金を払っていない業務は基本的にはやってくれません。
空室期間が長くなると、通水していない水栓のパッキンは傷みやすくなりぽたぽたと水漏れを起こしたり、思った以上に空室内にほこりが堆積して床は真っ黒になったりします。
新しく越してきた入居者さんが部屋に荷物を運びこみ「さあ、新生活をはじめよう!」と意気揚々としているところに水を差すことになるトラブル…。
長く快適に暮らしてもらうのが安定した賃貸経営の第一歩のはずですが、初日からいきなりケチがついてしまうことになりかねません。
実際にその部屋に住んでいなかった大家さんや管理会社が、すべての不具合に気づいて事前に解消しておくのは難しい点があるのも事実です。
ですから、新入居時の不具合対応は迅速に、誠意をもって対応することが大切です。
新入居時によくあるトラブル
- キズ … 壁・床・建具など。既存のものは写真などを残しておいた方がいい
- 建てつけ … 建具のゆがみなどによる擦れや開閉不良など
- 水漏れ … しばらく通水していないと起こりやすい
- つまり … 退去時の排水まわりの清掃が甘かった可能性がある
- 給湯器 … しばらく使っていないと種火がつきにくくなったりする
- エアコン・換気扇 … つかない、弱いなど
- 床なり … リフォーム時にしっかり確認しておかないとトラブルが大きくなります
- 清掃 … ほこりの体積、虫の死骸が放置されているなど
- 既存入居者とのトラブル … 引っ越し作業の不備、騒音、養生が甘いなど
*新入居トラブル
3大トラブル ②:入居中のマナーに関するトラブル
いろいろな方が暮らす共同住宅ですから、さまざまな生活様式があります。
子どもさんがいる家庭もあれば、夜勤のお仕事の方もいますし、若い方もいれば高齢の方もいて、中にはペットを飼っているお宅もあるかもしれません。
自分にとっては大したことではなくても、他の人にとっては耐えられないようなことだったりしますし、センシティブな問題もはらんでいたりするので、デリケートな対応が必要になる場合もあります。
人によって常識が違う場合がありますので、頭ごなしに否定をするとちょっとしたクレームだったはずが大きな問題に発展してしまうこともあります。
ひとつの対応間違いが取り返しのつかないことになるのが、このマナートラブルの特徴です。
そして、入居者のマナーは崩れだすと一気に加速することがあります。
人がやってるなら自分もいいや、大家さん(管理会社)の対応も適当だから自分も適当でいいや、となると、マナーはどんどん悪くなっていきます。
トラブルを未然に防ぎ、大きな問題にさせないためには、まずは共同生活のルールを入居者間の共通認識にしておくことが大事です。
そして、管理側がキチンと対応した上でマナー違反は許しませんよ、という姿勢を見せることです。
管理側がいい加減なのに入居者だけキチンとしろというのはおかしな話ですからね。
わかりやすく親切・丁寧に周知徹底を行っていくことが必要です。
よくある入居マナートラブル
- 騒音 … 隣がうるさい、駐車場などで騒ぐ、生活音が気になるなど
- ペット … 鳴き声、ふん尿の放置、悪臭、放し飼い、野良猫への餌付けなど
- ゴミだし … 曜日を守られない、荒らされている、放置ゴミがあるなど
- 駐輪場 … 放置自転車がある、入居者以外がとめている、使い方が悪い、盗難など
- 無断駐車 … スペース外へ駐車している、契約車以外が駐車している、通行の妨げになるなど
- 共用部の私的利用や放置物 … 私物が置いてある、ゴミが置いてある、通行の妨げになるなど
- 迷惑行為 … たばこのポイ捨て、異臭、駐車場のボール遊びなど
*マナートラブル
3大トラブル ③:建物や設備などハード面に関するトラブル
入居者から寄せられるトラブルの中でも、緊急度が高いケースが多いのがこのハード面でのトラブルです。
火がつかない、水浸しになった、警報機が鳴り続けている、部屋に入れない…などなど、一刻を争う事態が起きることもままあります。
しかも、休日だろうと夜中だろうとお構いなし発生します。
そんなときにウチの営業時間は朝9時からだから、そのまま我慢してください。とは言えませんよね。
しかし、機械設備の故障など専門的な知識が必要になる初期対応を、大家さんひとりで対処することはなかなかできることではありません。
24時間365日体制で稼働してくれる、協力業者さんとの連携は必須です。
そして、トラブルが起きたときに慌てないようにスムーズに解消できる連絡網を整えておきましょう。
トラブルが起きた際に入居者が、緊急連絡先がわからず事態を放置したりすると、被害が大きくなり復旧に必要以上の時間やお金がかかる場合が出てきます。
緊急時のコールセンターを準備して、そこから協力業者への連絡、現場への急行手配、大家への報告が迅速に行われる体制を整えておくと安心です。
合わせて決めておくべきなのは、緊急時の修繕対応についてです。
費用のかかる修繕のすべてに大家決済が必要では、緊急事態に直面してる入居者さん・業者さんは困ります。ある程度の金額までは事後承認でもいい、などの取り決めをあらかじめしておきましょう。
よくあるハード面でのトラブル
専有部
- カギの紛失 … 忘れた、無くした、閉めだされたなど。事件性がある場合もまれに…
- 水回り … 水が出ない、漏れている、止まらない、流れない、詰まっている、あふれているなど
- 電気 … 点かない、ショートした、すぐ落ちるなど
- ガス … 火がつかない、お湯が出ないなど
- 空調設備(エアコン・換気扇など)… つかない、効かない、異音がする、異臭がするなど
- 通信設備(電話・TV・ネットなど)… つかない、繋がらない、不具合があるなど
- 事故 … 天井から水が漏れてきた、ガラスが割れた、火事になったなど
共用部
- 清掃状態 … 汚い、ホコリだらけ、ゴミだらけ、汚物、放置物、迷惑チラシなど
- 電球切れ … 共用部の照明球切れ
- 設備不良 … エレベーターが動かない、ポンプが動かない、警報機が誤作動するなど
- 破損・汚損 … 共用部分にあるものが壊れている、汚れている、危ないなど
- 防犯 … オートロックが不良、不審者がいるなど
- 伝達不足トラブル … 工事や点検などの日程が知らされていないことなどから派生するトラブルなど
- 事故 … 漏水している、断水している、火事になった、タイルが落下してきたなど
- 災害 … 大雨、大雪、台風、洪水、地震、土砂崩れ、落雷、噴火など
*ハードクレーム
*「24時間365日対応」のウソ・ホント
トラブル対応への鉄則は「初期対応」と「発生予防」
賃貸経営をしていると、入居者からさまざまなクレームをいただくことがあると思います。
いただいたクレームを大きくしないためになによりも大切なのは「適切な初期対応」です。
できる修理や対処は速やかに行い、火種は早急に鎮火しましょう。
すぐさま解決できないような情緒的なトラブルでも、素早く・真摯にレスポンスしておくことで多くの場合は時とともに沈静化していきます。
中には大家さんの努力ではどうしようもならないようなクレーマー的なトラブルが発生してしまうこともありますが、カチンときてクレーマー入居者と同じ土俵に立って揉めてしまうと事はさらに深刻な事態に発展しかねません。
できれば避けたいことではありますが、場合によっては退去勧告・裁判など、事務的に粛々と行うことも必要になります。
そしてトラブルへの対応と同じくらい重要なのは、そもそもトラブルの発生を少なくするための下準備です。
起こってから困るより、起こらないように予防する方が建設的です。
業者さんはコトが起こった後の対処は行ってくれますが、なかなか予防策までは打ってくれません。
最悪のパターンでは、管理会社が自社の対応不足がばれるのを嫌がって、トラブルを大家に報告しない場合があります。
大家さんがのほほんとしている間に、入居者が物件トラブルに耐えかねて続々退去していた、なんてことがあっては笑えません。
管理会社任せにしすぎず、大家さんご自身でも確認をするクセをつけましょう。
トラブルを大きくしない・未然に防ぐためのチェックポイント
- 早期対応 … 放置したりのらりくらりとかわさず、速やかに対応すること
- 初期対応 … 即時解決できることは速やかに、解決に時間がかかる場合もキチンと説明する
- 受付窓口を提示 … キチンと対応できる窓口を明示しておく
- 訪問者の対応 … サービスマンとして適切な言葉遣いやマナーをおさえる
- 入居時チェックリスト … 既存の不備などを共通認識にしておく
- 入居のしおり … 共同住宅のルールを周知する
- わかりやすい掲示・案内文 … 掲示物や案内文を用意して情報を周知する
- 事故対応マニュアル・連絡網 … 緊急事態が起こった場合の報連相、初期対応について決めておく
- 緊急時費用の事後承認 … 緊急事態の時の対応についてある程度の裁量を現場に与えておく
- 管理の徹底 … 管理の行き届かない物件は風紀が乱れクレームも増える
- 柔軟性をもつ … 同質クレームでも特にマナートラブルの場合、対応方法はケースバイケース
*掲示用書式・配布用書式サンプル
リスクNo.5 退去トラブルのリスク