家賃を下げない!資産価値下落リスクを回避する攻めの投資19
2016/06/16
賃貸経営にはいろんなリスクやトラブルの種があるなぁ…。といつも思う、たのちん管理人なむ。
なんにもせずに同じ収益を長期間得ることができれば一番なのですが、なかなかそうはいきませんよね。
わかっていてもなかなかできない「攻めの投資」について考えてみます。
スポンサーリンク
Contents
家賃を下げれば空室は埋まる
世の中に流通している商品と同様に賃貸住宅も、需要と供給のバランスで価格が決まります。
誰も住みたいと思わないような物件ならいくら家賃を下げても決まらないでしょうし、誰もが住みたがる物件なら強気の家賃設定でも入居者は決まります。
要は、その物件の価値と同等の価格であれば入居は必ず決まります。
早く決めたいと思えば、そこから少しお得な価格設定にすればいいですし、動きが悪いと思う時には競合が割安な価格を出してきているのかもしれません。
時期にもよりますね。
借りたい人がたくさんいる春や秋などであれば需要の方が多いかもしれませんが、閑散期ではそうはいかないかもしれません。
家賃を下げ続ければいつか必ず決まりますが、それで本当にいいですか?
安易に家賃を下げることは資産の価値を自ら落としているのと同じこと
賃貸経営をしている大家さんは、ほぼ100%の確率で言われたことがあるのではないでしょうか?
「家賃を少し下げたら決まりますよ」(ドヤ顔)
家賃を少し下げることくらい簡単なことですが、この事実は客観的にみたときに物件の価値にどのような影響を及ぼすものなのでしょうか。
賃貸アパートやマンションなどの収益物件の価値評価方法のひとつに「収益還元法」という手法があります。
その収益物件の「稼ぎ」を元に、物件の価値を逆算する方法です。
ものすごくものすごくものすごく雑ですが、わかりやすく例をあげてみます。
50,000円の家賃で20戸のマンションがあったとします。
市場が期待する表面利回りを7%と仮定するとこの物件の評価額は、
(50,000円×20戸×12ヶ月)÷7%≒1億7,142万円です。
しかし入居が決まらないという理由で、退去のたびに3,000円値下げし続けたらどうでしょう。
(47,000円×20戸×12ヶ月)÷7%≒1億6,114万円の評価に下がります。
1億7,142万円-1億6,114万円=1,028万円
家賃を3,000円下げただけで、物件の評価は1,000万円以上目減りしたことになります。
長く賃貸経営をやっていれば、家賃を下げなければいけない局面は必ずあります。
しかしなむは「家賃の値下げはよく検討したうえで行うべき」だとも思うのです。
なんのために賃貸経営を行うのか、もう一度確認しよう
建物は経年劣化します。
そして、近隣にはどんどん新築が建ち物件の競争力は落ちていきます。
自然に任せていては、大切な資産の価値は目減りしていく一方です。
目減りしていって、使い切ったらゼロになって、そこに残るのは更地だけ…。となるならいいのですが、実際に残るのは老朽化した金食い虫で不良資産のアパートやマンションです。
賃貸として活用しようにも、古くて入居募集するためのリフォームがいるし、あちこち設備は壊れ、躯体自体にも大きな修繕費がかかり、放置するにも環境に悪影響を及ぼすことでクレームが多発し、売ろうと思っても建物が足かせになって売れない、もしくは買いたたかれる羽目に…。
節税や相続税対策という「財産を守る」つもりで始めた賃貸経営が、なぜか最期には資産を目減りさせることになっていた、のでは本末転倒です。
「手入れをしない、家賃を下げる」という選択は、少なからずこの最期への拍車をかけます。
賃貸経営を中長期で行うことが前提であるなら、その着地点でどうなっておくべきなのか、おおよそでもイメージをしておくことが必要です。
どうにもしようがない条件は「立地」
なんとなくここまで脅されると「家賃を下げること=悪」のようなすり込みがされてきません?笑
なむも自分で書いていながら脅迫されているような気分になってきました(どうでもいいw)。
家賃は下げたくないですよね。
下げたくないけど、下がるんすよ。笑
でも、ひとつだけ家賃を下落させない究極のワザがあります。
ここさえ押さえれば賃貸経営は盤石というほどの強力な必殺技。
それは…立地です。
建物が建ってる、ば・しょ!
超ど級の一等地に賃貸住宅を所有するだけで、引く手あまたで空室知らず♪
家賃も下がらず一生安泰(^^)/♪
楽しい賃貸経営不労所得ライフ♪
さあ、みなさんご一緒にどうぞ♪
…
ちょ…!待てよ!(キムタク風)
ウチには田んぼしかないで(# ゚Д゚)
30年借りてくれる業者がおるからウチは大丈夫や(# ゚Д゚)
ホントにいい場所エンドに回ってくるかいな(# ゚Д゚)
不動産投資をすすめる不動産屋の常套句「いい立地の物件を買いましょう」や「土地を厳選しておすすめしています」がうさん臭すぎて、ついついディスってしまいました。
いろいろすみません┏○))
少し誇張しすぎましたが、賃貸経営に立地が与える影響は大きいです。
しかし、たのちんを見ていただいている読者層の皆さまは、もうすでに物件を所有して運営しておられる大家さん…(のはず)。
いまさら立地が大事ですとか言われましてもw
もうすでに地べたにくっついてますからw
と言われてしまいます。
最大で最強の条件が変えられないのが賃貸経営、なんですよね。
今の状況下で、これから先の将来も考えたうえでどういう手を打っていくのがいいのかを考えなくてはいけません。
場合によっては、先祖代々受け継いだ大事な土地かもしれませんが、これから先の子孫を守るために、資産の組み替えも検討しなくてはいけないかもしれません。
資産の組み替えが考えられない場合は、今の資産を守るために競争力をつけていくしかありません。
立地は変えられません。
しかし逆に言うと、それ以外の条件は変えられるということです(ポジティブ)。
家賃が下がる一番のタイミングは「入居者が入れ替わるとき」
家賃を下げない下げない言い続けて早2000文字くらいですけど、そもそも「家賃が下がる」のはなんででしょう。
相場が下がってるから?
人が少ないから?
そういう時代だから?
たしかにそうなんですけど、昔からずーーーっと長く住んでくださっている方は昔々の高めの家賃を支払ってくれてますよね?
入居中に家賃の減額交渉をされることもないことはないですけれど稀ですし、基本的には入居時に決めた家賃を払い続けてくれているはずです。
「家賃が下がる」タイミングは…もうお分かりですよね。
既存の入居者さんが出て行って、新しい入居者さんが入ってくるとき、です。
新しい入居者さんを迎えるときには、リフォームもしなくてはいけないですし、募集活動に広告費もいります、空室期間の家賃は当然ないですし、さらに家賃は下がる…。
踏んだり蹴ったりです。
ということは、現時点での賃貸経営における最大の家賃下落防止対策は「退去せずにできるだけ長く住んでもらうこと」です。
*テナントリテンションとは?
その上で、どうしても発生してしまう退去の際に、如何に家賃を下げずに次の入居者を募集するかを考えていきましょう。
家賃を下げずに空室を埋めるには…「攻めの投資」が必要
家賃は下げたくない!
でも、物件を手放すつもりもないしできるだけ資産価値を落とさないように、かつ節税もして相続したい!
というワガママな大家さんは、相対的にその家賃に見合う付加価値をつける、その家賃を払ってもココしかないと思うようなオンリーワンの価値をつけるような投資を行っていく必要があります。
保守点検やメンテナンス、壊れたところを直して維持するというような「守りの投資」ではなく、価値を追加して競争力を高めるための「攻めの投資」です。
専有部を攻める!
入居者さんが毎日暮らす専有部への投資は、直接的な効果を発揮します。
掛ける費用によってできることはさまざまですが、想定するターゲットに合わせて行うことが大事です。
攻めの投資1.装飾リフォーム
簡単にできて見た目が大きく変わる内装の装飾やインテリアコーディネートは、競合物件との差別化や家賃維持施策の第一歩です。
攻めの投資2.部分リフォーム
システムキッチンやエアコン、追い焚き機能など、入居募集の物件検索サイトなどでも重要視される、部分的な設備のリフォームや交換です。
攻めの投資3.リノベーション
部分リフォームや原状回復工事で物件の競争力が回復できない場合は、リノベーション工事を検討します。
攻めの投資4.デザインリノベーション
間取りの変更や設備の交換をする工事に意匠(デザイン)部分の要素を付加して、他の物件と大きく差をつけるリノベーションをします。
攻めの投資5.カスタム賃貸
オーナーサイドの意向だけのリフォームではなく、入居者が壁紙やインテリアを選べるように簡易的にパッケージングした商品です。
攻めの投資6.DIY賃貸
壁紙や床を張り替えたり、棚をつけたり色を塗ったり、室内のリフォームを入居者自身で行うことができる賃貸住宅です。通常、入居者に原状回復義務は発生しません。
攻めの投資7.オーダーメイド賃貸
入居者が決まってから入居者の意向も反映したフルリノベーションをします。家賃は上げる前提でデザイナーも交えた意匠性の高い工事をします。
共用部を攻める!
物件そのものの印象を左右する共用部への投資は、暮らしやすさに影響します。
快適に暮らせる環境づくりは、長期入居も効果を発揮します。
攻めの投資8.特別清掃
基本的に管理状態の悪い物件は、入居者に質も家賃も下がります。基本的な管理はきちんと行ったうえで定期的なクリンリネスが必要です。
攻めの投資9.部分リフォーム
古臭かったり見た目が良くない照明器具を取り替えたり、モルタル仕上げの廊下に長尺シートを張るなど、部分的にリフォームをします。
攻めの投資10.エントランスリフォーム
エントランスドア、郵便ポスト、掲示板、照明器具、植栽、床・壁材、装飾品・調度品など、物件の顔になるエントランス部分のリフォームをします。
攻めの投資11.設備追加リフォーム
オートロックや防犯カメラなどのセキュリティ設備や宅配ボックスなどの生活利便設備を増強して競争力を高めます。
攻めの投資12.外壁・外構リフォーム
見た目が大きく変わる外壁塗装の塗り替え工事や洗浄、また、フェンスや駐車場、植栽、外灯などの外構まわりの手入れをします。
攻めの投資13.大規模改修・コンバージョン
共用部の全体的なリノベーションなどの大規模な改良工事、また、住居スペースの一部をテナント化するなどの用途変更を伴ったコンバージョンを行います。
攻めの投資14.建て替え
究極の家賃下落防止策は建て替えです。更地に戻して立地に応じたプランニングと建築を行います。
募集条件から攻める!
物理的な投資以外にも、入居を決めたくなる、長く住みたくなるインセンティブはあります。
攻めの投資15.フリーレント
家賃を下げる代わりにフリーレント期間を設けて、実質値引きのお得感を創出します。長く住んでいただくほど投資効率は良くなります。
攻めの投資16.家具・家電付き
家賃を下げる代わりに家具や家電を用意して、物件競争力を高めます。家具や家電はレンタルの場合もありますし、プレゼントの場合もあります。
攻めの投資17.無料インターネット
若い入居者の比率が多いワンルームなどの物件はネットの接続環境は必須です。別途手続きのいらない無料インターネットのニーズは高いです。
攻めの投資18.駐車場・駐輪場の確保
特に郊外の物件は駐車場の確保が物件の検索条件になっている場合が多いです。都心以外は駐車場のニーズは高いでしょう。
攻めの投資19.ターゲット賃貸
ペット可、楽器可など特定ターゲットののニーズをくみ取った物件は家賃の値下がりがしにくいです。その他には、女性専用・高齢者専用・外国人可・シェアハウスなども最近のトレンドです。
リスクNo.4 入居トラブルのリスク