滞納家賃回収のプロ!保証会社とうまくおつき合いするための注意点
2016/06/15
保証人の代わりに保証会社を使ったら、どんな仕事をしてくれるのかをみてみました。
保証会社に任せさえすればもう安心…と思ったら、思わぬ落とし穴が!
保証会社がどういう仕組みで収益を上げているのか、どういう保証会社が危ない?危なくない?のか、そしてどういうことに注意しておいたらいいのかを考えてみます。
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保証会社を利用するのにかかる費用
保証会社には多くの業務をアウトソーシングできますが、それだけの業務をタダではやってくれませんので、保証料を払います(当たり前w)。
しかし、基本的にこの保証は「入居者の連帯保証を代行する」という建前がありますので、入居者が負担します。
会社にもよりますけど、契約時の保証料家賃の50~100%、1年毎の更新料0~10,000円というプランが多いですね。
「保証料は入居者負担」という仕組みは、保証会社が普及し始めた当初は結構違和感ありました(すごく個人的にw)。
「大家さんの家賃取りっぱぐれリスクをなんで入居者が面倒見るんだ?」と思いました。でも、逆の視点からみると「保証人がいなくても保証料さえ払えば、部屋が借りられて(貸せて)助かる」にもなります。
立場が変われば見方が変わるということですね。
そして急速に利用が拡大していって、ニーズの高さとメリットを感じるとともに使うことが当たり前になると、なんの違和感も感じなくなりました。慣れってすごい。笑
大家さんも、保証料なんか負担させたら入居者がよそに逃げるんじゃないか?と言われていた時期もありましたけど、今はあまり聞かないですね。
むしろ逆に、自分が保証料を負担してもいいから全入居者につけてくれ、という要望もあります。
保証会社の審査は通常、新入居の審査時に行われます。
すなわち、これから入居する方のための保証です。
しかし、もうすでに保証会社をつけずに住んでいる入居者や、オーナーチェンジで取得した物件の入居者など、既存入居者に対する保証引き受けをしてくれる保証会社もあります(もちろん要審査)。また、死亡時の現状空き服費用などのオプションプランをつけたい大家さん。
そのような場合は、大家さんが負担して追加の保証を行うことが多いです。
保証会社の財務体質
体力のある保証会社は少々の未収リスクは内包できますが、体力のないところは未収が増えるとつぶれますので回収作業が厳しく(激しく)なります。
裁判沙汰になるようなトラブルはこういう会社で起こりやすいです。
保証料が安ければ入居者の負担は減りますが、保証会社の収益性は低くなります。
保証料が高ければ入居者の負担は増えますが、保証会社の財務状況はよくなります。
滞納しない手間のかからない入居者の保証料で、滞納者の保証が賄われていますので、滞納者が増えるとデフォルトリスクが高まります。審査の甘さはその比率に影響を与えます。
審査が甘ければ入居しやすくなりますが、滞納の発生率が高くなります。
審査が厳しければ入居しにくくなりますが、滞納の発生率は低いです。
滞納発生のリスクは経済状況に影響されやすいです。
景気が安定していれば家賃の未収リスクは低いですが、景気が暗転してリストラに合ったりボーナスが減ったりすれば未収リスクが急騰します。
未収リスクが高まった時、収益性が低くて、審査が甘くて、自己資本比率の低い保証会社から経営は危うくなります。
そういう相関になっています。
保証会社は選べない
保証会社によってやってくれること、やり方、保証プランの内容や費用、固さやゆるさ、差があることはわかりました。
さあどの保証会社を使おう?
オススメはどれ?
と思われるかもしれませんが、大家さんが保証会社を好き勝手に選ぶことは…絶対とは言いませんけど、まあ、できないですよね。
大体の保証会社は個人の大家さんと直接取引はしてくれません。
大家さんが直接電話しても、提携している仲介店や管理会社を通して申込みしてくださいと言われますね。
ですから、大家さんがこの保証会社を使いたい!と言っても、世話になっている仲介店や管理会社が提携していなければ使えません。
じゃあ提携してもらえばいいんじゃん?
確かにその通りなのですが、取り扱う保証会社が増えると、申し込みの仕方や求償の期間や請求方法や入金のサイクルが違ったりして、管理会社はそれはそれは事務手間が増えます。
その保証会社なら100%審査落ちしないとか、事務処理が簡易とか、弁済サイクルがすごく短いとか、よっぽどのメリットがない限り、むやみやたらに増やすのは絶対にイヤがると思います。笑
あと嫌がる理由として大きいのは、バックマージンです。
より多くの保証契約が欲しい保証会社は、他社より自社を紹介してもらうために提携窓口にバックマージンを支払っています。
特別な契約でその比率が高かったりすると、仲介店や管理会社はその保証会社を優先的に使いたいというインセンティブが働くのは、当たり前ですね。
どうしても自分が選んだ保証会社を使いたいんだ!
という大家さんは法人化して賃貸管理会社を作っちゃえば、好きな保証会社と提携できます。
あとは仲介店にこの保証会社つかってね♪とお願いするだけです。
しかし…。
めんどくさいですねw結構事務手間かかります。
仲介店や管理会社は場数を踏んでいますから、この入居者はこの保証会社じゃないと通らないな、こっちの方がリスクが少ないな、と上手に選んでさっさと手続きしてくれます。
大家さんが保証会社を選びたいがためにモタモタしていたら、入居するつもりの人も逃げちゃいます。
どこの仲介店や管理会社でも、大手どころの保証会社とは大体提携していますから任せた方がスムーズです。
保証会社を使うときの注意
入居者の滞納が始まったら、保証会社の出番です(なんかすごいいやだw)。
収納代行から任せている場合は、いちばん初めに滞納に気付くのは保証会社ですから大家さんは特別やることはありません。
保証会社に連絡をしなくてはいけないのは、代位弁済請求のときです。
家賃の入金がないと気付いたら速やかに督促~代位弁済請求を行わなくてはいけません。
代位弁済請求は誰がやるかですが「基本的には家賃収納口座の管理をしている人」ですね。
家賃の集金を管理会社に任せている場合は管理会社ですし、大家さんが自分の口座に振り込ませているなら大家さんです。
代位弁済請求書をFAXして待ちます。
ちょっとめんどくさいのは、提携している業者からの代位弁済請求でないと受け付けない保証会社があることです。
すなわち、大家さんからの直FAXは不可ということです。
そういう場合は管理会社経由になりますが、入金管理を任せている会社がない場合、取次をしてくれた仲介店に依頼することになると思います。
部屋の仲介をしただけで管理を任されてるわけでもないのに、滞納の代位弁済請求をやらなくてはいけないのは仲介店にとってはタダ働きです。
余裕のある時期ならまだしも、超絶忙しい繁忙期にはどうしても後回しになりがちです。
「閉店してからやろう」と思ったまま、ついうっかり請求忘れ…。
これ実際あります。
大家さんは請求を頼んだつもりで入金を待つ。しかし、待てど暮らせど弁済されない。
代位弁済請求自体を忘れていて、請求期間を過ぎて免責になってしまった…。なんてことになったら目も当てられません。
入金の管理までしっかり任せていたら責任の追及もできますが、そうでなければ「代位弁済請求してくれなんて頼まれてない!」などと、シラを切られたら最悪大家さんが泣きをみることになります。
こんなことになる背景には、大家さんと業者との普段からの付き合い方にも遠因があります。
「業者から嫌われていてわざと請求してもらえなかった」なんてことはさすがにないと思いますが、賃貸経営を円滑に行っていくためには、パートナーとなる業者とは持ちつ持たれつ、後回しでなくてえこひいきされる関係を築いておきたいものです。
保証契約の更新切れに注意
あと注意しておいた方がいいと聞くのは、保証の更新がある契約です。
保証契約には、初回保証料を家賃の100%もらって退去するまでカバーするプランもあれば、初回を50%などと低く抑えて代わりに1年毎の更新料をもらうプランもあります。
更新料が必要なプランの場合、更新時期が来ると保証会社から入居者へ更新手続きの連絡(振込用紙)が届きます。
入居者が更新(振込み)してくれれば引き続き保証契約が継続されるのですが、振込みしてくれなかった場合保証契約が打ち切られます。
打ち切られても家賃をしっかり払い続けてくれる入居者ならいいのですが、滞納が起きてしまったら保証されませんので大家さんが保証料を負担して継続させる場合もあるようです。
また、家賃滞納中に契約更新時期がきた場合、家賃を滞納するほどの入居者が更新保証料だけ律儀に払うとは思えませんので、当然に保証契約が切れます。
更新切れでも最後まで面倒見てくれる保証会社もあれば、更新切れたのでサイナラ~と逃げる保証会社もあるようです。
なかなかに闇が深いですw
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