滞納家賃回収の基本!賃貸保証会社がやってくれることを知ろう
2016/06/15
大家さんにとっても入居者にとっても、保証会社を使うことはメリットがあります。
会社によって保証の範囲や弁済方法なども若干違いますが、保証会社の基本的な業務についてまとめてみます。
サービス内容は時とともに変わっていきますので、情報が若干古いかもしれません(>_<)
その際はご指摘いただけましたら助かります(他力本願w)。
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Contents
保証会社がやってくれる(やる)こと
保証会社をつけたら滞納家賃の未収に胃をキリキリさせる日々は少し緩和されます。
しかし、どの会社でも同じ保証をしてくれるわけではありません。
大家さんから直接の代位弁済請求を受け付けてくれないところもありますし、免責期間の違いもあります。
代位弁済か収納代行か、初期保証料と更新保証料のバランスなど、保証会社が用意している契約プランもさまざまありますので、入居者さんが契約した保証会社との保証内容はよく確認しておく必要があります。
また、ある程度の管理戸数を持った管理会社になると、各保証会社は自分のところの保証を優先的に使ってほしいので、その管理会社専用のオリジナルプランなどを作ったりもします。
そうなると「この会社はこういうプラン」というのは一概には言えなくなりますので、ここでは一般的によくある保証内容についてまとめます。
今後変化していくことも多分にあると思いますので、あくまで一般論として認識ください。
保証会社は具体的にどのような業務を行ってくれるのでしょうか?
時系列に見てみます。
1.入居予定者の信用調査
保証会社をつけた契約にする場合、賃貸借契約を結ぶ前に保証会社の審査がありますね。
入居希望者の属性から信用調査を行います。
審査の基準は聞いても教えてはもらえませんが、名前が書ければ通るようなところからクレジットカード審査バリに厳しいところまで、会社ごとにさまざま特色があります。
賃貸保証業界には、CICのような信頼度の高い個人信用情報機関はありませんので、基本的には各保証会社ごとの独自基準で成否を決めているのだと思います。
全国賃貸保証業協会(LICC)という団体があるにはありますが、参画企業は少ないですし、賃貸保証の与信調査データベースとして十分なサンプルが蓄積されているとは思えません。
どんな形でも審査に通りさえすれば大家さんの滞納リスクは補てんされますが、その分事故リスクは高まります。
逆に審査が厳しすぎると、いつまでたっても入居が決まらず空室リスクに悩むことになります。
審査に無事通ったら賃貸借契約の締結となりますが、引越しを急いでいると言われても契約完了前にカギの引き渡しをするのはやめましょう。
保証契約の不備、または保証料未納の状態では、当然ながら保証会社は保証してくれません。
2.滞納家賃等の代位弁済
保証会社の入金形態は大きく2種類あります。
「代位弁済」と「収納代行」です。
「代位弁済」の流れ
② その支払いが遅れた場合、大家さん(または管理会社)が保証会社に代位弁済してくれという請求をします。 ③ 保証会社はその請求を受けて、大家さん(または管理会社)に代位弁済(立て替え払い)をします。 ④ 保証会社は立て替えた家賃を入居者に請求します。 |
代位弁済とは、入居者が怠った家賃の支払いを保証会社が立て替えることです。
10~80日くらいの免責期間が設定されています。
代位弁済には多くの場合、免責期間とは、滞納発生からその期間中に代位弁済請求しないと保証しませんという期間で、短い会社だと10日以内ですからうかうかしている間に期限が切れます。
大家さんの中には1ヶ月経っても滞納に気づかないような、びっくりするくらい鷹揚な方がおられますし、任せっきりにしていた管理会社が代位弁済請求を忘れていたなんていうウソみたいな話もあります。
そんなことになっていては何のために保証会社をつけているのかわかりません。
逆に、免責期間が長いからといってもたもたしていたら、入居者に滞納グセがついてしまいますから、今後トラブルなく長く住んでいただきたいと思うのなら速やかに手続きをしなくてはいけません。
立て替えた家賃を振込みしてくれる日「弁済日」も会社によってまちまちです。
請求後3日で弁済してくれる会社もあれば、2ヶ月近くかかるところもあります。
ローン返済もありますから早く弁済してくれることに越したことはないですが、大家さんから直接の弁済請求を受け付けてくれない(必ず管理会社経由)、初期督促をしてからでないと弁済請求を受け付けてくれない(最初の督促は大家さん側でやらないといけない)など会社によって条件があったりします。
保証会社によってさまざまですので、間違えないように確認をしておいてください。
「収納代行」の流れ
② その支払い如何にかかわらず、保証会社は大家さん(または管理会社)に家賃を振込みます。 ③ 滞納を確認した保証会社は入居者に滞納家賃の督促をします。 |
収納代行と代位弁済の大きな違いは、入居者が家賃を振り込む先が保証会社だということです。
保証会社は入居者からの入金があろうがなかろうが大家さんに家賃を振り込んでくれますので、キャッシュフローの安定感は抜群です。
保証会社は自分で集金をしていますから滞納が発生したことを即時把握します。
大家さんは集金業務もアウトソーシングできますし、代位弁済請求もしなくていいので請求モレの心配もいりません。
最大の難点は、倒産リスクです。
集金をしている保証会社に何かあった場合、大家さんが家賃を回収することはほぼ不可能になります。リプラスが倒産した当時は最大手の保証会社でしたから、多くの入居者が利用していました。
もし、所有物件の入居者の半数が倒産した収納代行保証会社を使っていたら、家賃収入の半分が吹き飛ぶことになります。
当時を知る大家さんや管理会社は、収納代行にそういうトラウマを持っています。
今、大手は代位弁済をメインで行っている会社が多いですが、そういう背景も影響しているのかもしれません。
特に、自己資本比率の低い保証会社の収納代行はよく考えて利用したほうがいいと思います。
3.滞納者への督促業務
代位弁済の場合は、最初に家賃の未納に気がつくのは大家さん(または管理会社)です。
振込み忘れじゃないかなどを電話で確認したりと、初期対応を行っても家賃を支払ってもらえない場合、保証会社に代位弁済請求をします。
入居者に替わって大家さんに家賃の支払いをした保証会社には、入居者に対して「求償権」が発生しますから、大家さんに替わって入居者に未納分の家賃の督促をします。
求償をする保証会社によっては、入居者に対して滞納分の家賃のほかに「督促料」を求める場合があり、「家賃はちゃんと払うつもりだったのになんで保証会社が出てくるんだ」と、入居者からクレームがくることがあります。
それを防ぐには、契約時や一番最初の督促のときに「滞納したら保証会社に代位弁済してもらいます、代位弁済後は保証会社が督促します、保証会社からは督促料の請求が来ます」と、キチンと伝えておく必要があります。
代位弁済後の督促業務は保証会社に任せて、大家さんはできるだけ入居者と無用な接触をしないようにしましょう。
ついうっかり大家さんが直接入居者と交渉をして、滞納分を待ってあげるとか分割してあげるとか勝手に決めてしまうと、保証会社はその後の保証を引き受けてくれなくなる可能性があります。
滞納の督促と求償は保証会社の仕事ですから、入居者には保証会社と交渉するように伝えてください。
住居用の保証期間(金額)は、12ヶ月~48ヶ月分くらいまでと割と幅広く保証してもらえる内容にはなっていますが、保証会社も回収ができなければ死活問題ですから期限が来るまで黙ってお金だけ払ってくれるわけではありません。
代位弁済回数が増えるほど督促はだんだんと厳しくなっていきますし、回収が上手く進まないようであれば追い出しの準備に入っていきます。
大手よりも小さな会社、保証料が高いところよりも低いところ、審査が厳しいとことよりも甘いところ、不動産系の会社よりも消費者金融系の会社、の方が未回収のリスクが高くなる傾向があるため督促は厳しくなりがちです。
もし保証会社が無理な自力救済をして入居者から訴えられた場合、大家さんも不利益を被る可能性があります。
どんな保証会社を使うのかは、仲介店や管理会社によく確認をしておきましょう。
4.明渡し訴訟費用の負担
大家さんが督促をする場合はできるだけ未納の家賃を回収するために、押したり引いたり入居者との間に情の駆け引きを持ち込んだりしますが、保証会社の場合はそんなまどろっこしいことはやってくれません。
滞納状態が3ヶ月を過ぎ、今後の回復が見込めないとみるや、損切り覚悟でシステマチックに退去交渉に入ります。
大家さんはちょこっとずつでも最終的には滞納分の全額回収を目指して引っ張ることもありますが、保証会社は長引くだけ損がかさみますのでドライに損切りして利確をするということですね(違うかな?w)。
保証会社を使いたくないという大家さんの中には、退去されたらまた募集しなくちゃいけない、保証会社なんだから追い出さずに住まわせたまま回収しろ、という方もいらっしゃいますが…。
手厳しすぎる気がしますw
多くの保証契約には明渡し訴訟費用の負担まで入っています。
保証会社は代位弁済を行っていますので、自分の負担を回収するために積極的に督促し、お抱えの弁護士さんを使ってスムーズに訴訟手続きを行ない、明渡しが無事に済むまでは面倒を見てくれます。
場数が違いますからプロですw
しかし本来、賃貸借契約を入居者と結んでいるのは大家さんですから、保証会社には立て替えた家賃の求償権はあっても、賃貸借契約を解除する権限は持ちません。
もし裁判になったとしても保証会社は原告になれませんので、あくまで原告の大家さんをサポートする立場で訴訟費用を負担します、という立場になります。
おおよそ3~6ヶ月で明渡しまで完了しますが、保証する明渡し訴訟費用の上限がある場合があります。
判決が出て任意退去に至ればいいですが、その後強制執行まで行くと上限を超えてしまう?こともあるようです(また聞きです)。
この辺の実務について、なむはかなり疎いです。
いやいや、こういう風だよ(^^)/
というお話があればこっそり教えてください(なぜこっそりw)。
5.残置物撤去費用の負担
任意退去もしくは明渡しの判決を受けた強制執行を経て、無事?退去に至ったあとの残置物の処分費用についても保証内容に含まれる場合があります。
残置物の撤去は、法的な手続きなしに勝手に処分することはできません。
夜逃げで行方不明、連絡取りようがない、絶対に帰ってこない、というような場合でも、キチンと強制執行の手続きに基づいて処理をしましょう。
6.原状回復費用の負担
保証契約の内容によっては、空になった部屋の原状回復費用まで負担してくれる場合があります。
家賃滞納をして退去に至ってしまうほどの入居者は生活がルーズな場合も多く、部屋が荒れている率が高めです(若干偏見w)。
保証会社によって入居者の立ち退き~明渡しが完了した後、大家さんは部屋の原状回復をしなくてはなりません。
通常の原状回復であれば、退去立会いをして入居者と大家さんの費用負担割合を決め、入居者負担分を敷金などで清算して、余れば返金・足りなければ請求という流れになります。
しかし、滞納で保証会社に立て替え払いしてもらっていますので、預かり敷金はまずそちらに充当され、原状回復に使えるお金は残りません。
そういう場合の原状回復費用は多くの場合大家さんが負担せざるを得ませんが、原状回復費用の保証がついていれば、保証会社が少し補てんしてくれます。
標準だったりオプションだったり会社によってまちまちですが、およそ家賃の1~3ヶ月分くらいです。
最近は、死亡時の原状回復費用保証などをオプションでつけられる保証会社もあります。
保証会社とうまく付き合うには?
*滞納家賃回収のプロ!保証会社とうまくおつき合いするための注意点