めざせ満室経営!空室対策のキモは「入れて・出さない」の2本柱
2016/06/15
賃貸経営にはいろんなリスクやトラブルの種があるなぁ…。といつも思う、たのちん管理人なむ。
まず真っ先に思い浮かぶのは空室の発生による収入減のリスクですよね。
大家さんがいちばん頭を悩ませる、空室対策について考えてみます。
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Contents
まずは空室率の考え方を知っておこう
賃貸経営は家賃が収入ですから、空気を住まわせていても1円の稼ぎにもなりません。
生活の変化によって退去はどうしても発生してしまいますが、空室率はできるだけ低く抑えたいですよね?
空室率には、「時点空室率」「稼働空室率」「賃料空室率」という3つの計算方法があります。
時点空室率」とは、その計算をした瞬間の空室率です。
「今、10戸中2戸空いていたら空室率20%です。
「稼働空室率」とは、年間の稼働日数で計算する空室率です。
例えば、10戸中の2戸がそれぞれ2ヶ月、3ヶ月間空室だったとします。
10戸が100%稼働していたら家賃収入は120ヶ月分、そのうちの5ヶ月分が空室でロスしていますので、(2ヶ月+3ヶ月)/12ヶ月×10戸≒ 空室率4.1% となります。
「賃料空室率」とは、空室でなくなったと想定される賃料分で計算される空室率です。
上記と同様に10戸中2戸がそれぞれ2ヶ月、3ヶ月間空室だったとします。
しかし、その2戸がファミリーの広い部屋で家賃10万円、他の部屋は全部単身用5万円など家賃に差があった場合、(2ヶ月+3ヶ月)×10万円/12ヶ月×(8戸×5万円+2戸×10万円)≒ 空室率6.9% となります。
「10戸中2戸がそれぞれ2ヶ月、3ヶ月間空室」なのは同様ですが、賃料ベースでみると3%近くの差があることが分かります。
一言でいうと「空室率」なのですが、見方が間違っていると影響が少ないはずの空室率なのになぜか赤字になってしまう…。ということが起こり得ます。
これらの数値を加味しながら、できるだけ収益を高く保てるように空室対策を行っていく必要があります。
空室対策の基本は2本柱
空室対策の手法はたくさんありますが、考え方の基本はたった2つです。
1.発生した空室にできるだけ早く適正な賃料で次の入居者をみつける 【 入居募集 】 2.不可抗力以外の退去を減らしてできるだけ長く住んでもらう 【 テナントリテンション 】 |
「入れて、出さない。」
これにつきます。
賃貸経営も回転数勝負の時代がありましたが…
遠い昔のお話ですね。
空室対策1.発生した空室にできるだけ早く適正な賃料で入居者をみつける
いわゆる入居募集活動です。
入居募集活動をスムーズに行うために、以下のような具体的な対策を行っていきます。
(1)入居者が決まらない原因をつぶすための市場調査をおこなう
入居募集活動はむやみやたらに行うことは得策ではないと、たのちん管理人は思っています。
いろんな施策をやりながら市場の反応をみて修正する、ということでもいいのですが、2度手間や時間のロスが発生しますし、必要以上の値引きをしてしまったりすることに繋がります。
手間はかかりますが結局はしっかりと事前調査を行った方が、大家さんが求める入居者さんと入居者さんが求める部屋やサービスのアンマッチがなくなり、早期入居と収益確保に繋がります。
自物件と同規模の競合物件のデータを集めて比較します
- 家賃や共益費、駐車場などの有無と費用の違い
- 敷金、礼金など初期費用の有無や取扱いの違い
- ターゲットにする入居者属性
- ターゲット層のそもそもの数
- 入居可能になる時期
- 駅やコンビニ・スーパー、病院などの生活利便施設までの距離
- 築年数や共用設備、見た目などの違い
- 間取り、住居設備の違い
- リフォーム、リノベーションの有無
- 修繕やメンテナンスの差
などをしっかり調べて商品化します。
(2)調べたデータを元に物件の商品化を行う
市場調査を行うと、いろいろな面で物件の課題が見えてきます。
課題が見つかったらそれに対する対策を考えて入居が決まるように商品化をしていきますが、その方法は大家さんの経営スタンスによって変わってきます。
現状のまま貸すために家賃などの条件を見直す
- 同等スペックの競合物件より、家賃を下げるなどして少し割安感を出す
- 競合物件のスペックより見劣りする場合は、さらに家賃を下げる
- 敷金(敷引き)・保証金・礼金などの初期費用を見直す
- ペット可にするなど条件を緩和する
- フリーレント期間を設ける
- プレゼントキャンペーンなどを行う(家電やギフト券など)
条件を維持するために下がっている物件の価値を戻す
- 同等スペックの競合物件より、少しいい設備などをつける
- 競合物件のスペックより見劣りする場合は、見劣りしないくらいのリフォームをする
募集条件を上げられるほどの高い付加価値をつける
- 同等スペックの競合物件とは比べられない付加価値をつける
- リモデル、リノベーションを行う
- ペット対応、楽器対応、趣味特化など差別化できる要因をつける
- 住環境を豊かにするため共用部もリノベーションする
- 他にはない付加価値の高いサービスなどを提供する(コンシェルジュなど)
(3)商品を適切に届けるため募集活動の内容を見直す
市場調査をして競合に負けない商品ができても、それを求める人に届かなければ決まりません。
募集活動について考える
- 専任か、一般か
- 間接募集か、直接募集か
- 管理を任せているか、いないか
- 広告費(AD)の設定はどうなっているか
- ポータルサイトなどへの露出はどうなっているか(広告)
- ポータルサイトなどへの露出の内容はどうなっているか(写真・情報)
- 募集開始からの問い合わせ件数、内覧案内数はどうなっているか
- 部屋は内覧しやすい状態になっているか(カギ・備品・封水など)
- 申し込みから契約、引き渡しまでの流れはスムーズか
入居募集活動を最適化することによって、無事入居者に入っていただけたとします。
となると、次に行うのは…
「出さない対策」ですね。
空室対策2.不可抗力以外の空室をできるだけ発生させない
いわゆるテナントリテンション活動です。
聞き慣れない言葉ですよね。
え?
当たり前すか??
なむは最近知った…(管理会社の社員なのに…恥)
テナントリテンションとは?
テナント=入居者
リテンション=維持・確保
で、「入居者さんに長く住んでもらうための施策」のような意味合いで使われます。
リテンションというのは、元々人材マネジメント業界で使われていた用語のようで「企業にとって必要な人材を維持(確保)するための施策等」という意味で使われていたそうです。
それが転じて「テナントリテンション」=「入居者さんに長く住んでもらうための施策」として使われるようになってきました。
その昔は、賃貸住宅経営もお昼時のそば屋のように回転させてなんぼという風潮もありましたが、さすがに昨今それをおっしゃる方は少なくなっていると思われますから、空室率を低く抑えるためにはテナントリテンションが大事だな、というのはご理解いただきやすいのではないかと思います。
具体的にはどんなことをするの?
テナントリテンションで必要なのは「長く住んでもらうこと」ですから、「この住まいは快適」「長く住んで得したな」「引越しをする理由がない」と思っていただくために、以下のような具体的な対策を行っていきます。
行うタイミングは、年に一回「1年住んでいただいてありがとう」でもいいですし、2年に1回の更新時期でもいいと思います。
テナントリテンションとしてどのようなことを行うか
- 更新料の無料化(あるエリアのみ)
- フリーレント期間の設定
- ハウスクリーニングサービス
- 壁紙などの貼り替え・たたみ表替えサービス
- TVモニターフォン、温水洗浄便座、エアコンなど設備の増強サービス
- 品物のプレゼント
- 毎月の家賃支払いで貯まるポイントサービス
- コミュニティの創出
- マナートラブルなど入居トラブルの撲滅
- 住みやすい住環境の整備
などです。
2つの空室対策をバランスよく行うことが大切
賃貸経営は常に空室との戦いかもしれません。
しかし、「適切な商品」を「適切な価格」で「適切に供給」していれば、必ず売れていくのが市場原理です。
そのためにはきちんとマーケットの状況を把握して、売れるものを市場に流通させなくてはいけませんね。
そして、入居が決まったらできるだけ長く住んでいただくことが、安定経営の要です。
キチンと家賃を払っていただいてトラブルもなく快適に長く住んでいただければ、それにこしたことはありません。
やむを得なく退去に至ったとしても、「快適に長く住める環境」が整っていれば、次に入居される方もそうなってくれる可能性が高まります。
必死に入居募集をしてやっとのことで入居者が決まっても、端から退去が続けば一向に空室率は下がりません。退去のたびにリフォーム代、宣伝広告費、空室期間の収入ロスがかさんでしまっては、何のために賃貸経営しているのかわからなくなります。
良いサイクルで回っていくことを理想にして、それに近づけていく空室対策を行っていくことが大事です。
リスクNo.2 家賃滞納のリスク